なつのおわり

粛々と

坂道に光る

坂を下って家路に着くのだが、

この日はなんだか妙に地面がキラキラしていて気味が悪かった。

キラキラしているものは割と好きなのに、いつもキラキラしていない、ましてやキラキラするはずのないコンクリートがキラキラしているのがやけに気味が悪かった。

 

よく見たら、パチンコ玉だった。

 

紙パックの飲み物のゴミと、パチンコ玉が散らばっていて、なんだか不安定な気持ちになった。

最初パチンコ玉かどうかわからなくて、興味本位で一個軽く足で転がしてみた。

コロコロコロ〜と転がっていった。

転がった先から自動車がヘッドライトを煌々と光らせて走ってきて、一瞬足がすくんだ。

強い光に照らされて、とてつもなく悪いことをしたような気がした。

 

翌朝もまだその坂にパチンコ玉は散らばっていたけど、夕方にはもうなくなっていた。

紙パックもパチンコ玉もなくなっていた。

パチンコ玉をばら撒いた人も紙パックをぐしゃっと潰して捨てた人もいなくなったような気がして、ちょっと怖かった。